R5特定建築基準適合判定資格者講習の考査問題解説㉒

ルート2主事試験過去問

3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。

その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。

講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP

特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

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令和5年度 問22

耐震計算ルート2で設計され、柱脚には露出型柱脚が用いられている純ラーメン架構の鉄骨造建築物について、以下の【問22-1】及び【問22-2】の各設問に答えよ。
※構造計算書の抜粋(露出型柱脚に関する検討、設計諸元、崩壊メカニズム時の安全性検討等)の図表は、日本建築防災協会公式PDFをご参照ください。

【過去の考査問題の出典】

出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。

令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

解答(案)

【問22-1】 構造計算書の確認事項

(1) アンカーボルトの伸び能力
使用アンカーボルト(ABM400・JIS B 1220)が伸び能力を有する材料規格に該当することを確認する。あわせて、アンカーボルトの伸び能力の有無の記述が、構造計算書と構造図面で整合していることを確認する(計算書では伸び能力ありとして検討しているのに、図面に伸び能力のあるアンカーボルトが記載されていない事例がある)。(R5講習テキスト S-p.14 c)審査のポイント)

(2)-i 曲げの検討
柱脚の保有耐力接合の判定として、柱脚の最大曲げ耐力Muが「柱の全塑性曲げモーメントMpc×α」を上回ることを確認する。αは柱はり仕口部の保有耐力接合の安全率αと同様の値(400ニュートン級炭素鋼で1.3)。本問では Mpc×1.3=770×1.3=1001kNm < Mu=1044kNm でOK。Muの算定根拠(ベースプレート800×800×45、アンカーボルト配置、Fc=21N/mm²)が計算書に適切に反映されているかも確認する。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 付録1-2.6 p.638、付録1-2.4)

(2)-ii せん断の検討
γ倍(純ラーメン架構ではγ=2程度:崩壊メカニズム時のベースシヤー係数が一次設計時の2倍強であることによる)した設計用せん断力 γ×QD=2×155=310kN に対し、摩擦力とアンカーボルトの許容せん断力のうち大きい方(本問では Qu=max(Qfu, Qbu)=971kN)で安全を確認する。971kN ≧ 310kN でOK。(解説書 付録1-2.6 p.638、テキスト S-p.14 フローの④)

【問22-2】 アンカーボルトの伸び能力がない場合の検討事項(200字以内)

アンカーボルトに伸び能力がない場合は、塑性変形による地震エネルギー吸収が期待できないため、地震力による応力を割増し係数γ(純ラーメン架構では2倍程度)で割り増した状態を想定し、γ倍したコンクリートの最大圧縮応力度σcがコンクリートの設計基準強度Fcを下回ること、γ倍したアンカーボルトに作用する引張力Tbがアンカーボルトのねじ部降伏耐力Pb(ねじ部断面積×F値)を下回ることを確認する。(約185字)

(根拠:R5講習テキスト S-p.14 フローの⑤、2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 付録1-2.6(2) p.638 式(付1.2-23)・(付1.2-24)。σc<Fc、Tb<Pb。γは純ラーメンで2程度、ブレース構造では1+(1+0.7β)=最大2.5、ルート1-2では1.67)

ポイント

  • 露出型柱脚の検討フロー(付図1.2-25):保有耐力接合の判定(Mu>Mpc×α、αは仕口部と同様=400N級1.3)→ 満足しない場合はγ倍した応力で最大耐力を確認。
  • 伸び能力がない場合の確認は「σc<Fc」と「Tb<Pb」(γ倍した応力に対して)。γは純ラーメンで2程度・ブレース構造で最大2.5・ルート1-2で1.67。
  • 審査では伸び能力の有無が計算書と図面で整合しているかを必ず確認(テキストS-p.14)。

最後にルート2主事試験に持ち込み可能な図書の紹介

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