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「勉強時間が確保できません」
一級建築士を目指す20代の方から、いちばんよく聞く言葉です。
こんにちは。構造設計をしていた一級建築士です。
設計の仕事は、定時で帰れる日ばかりではありません。図面の締切があり、打ち合わせがあり、現場が動けば呼ばれます。そんな中で「毎日3時間勉強しましょう」と言われても、正直、途方に暮れますよね。
この記事では、精神論を抜きにして、カレンダーと電卓で勉強時間を逆算します。
先に結論を書きます。
平日2時間・休日6時間を9ヶ月続けられれば、必要な時間には届きます。
問題は「時間がないこと」ではなく、「まとまった時間しか勉強時間だと思っていないこと」です。
一級建築士の学科に必要な勉強時間は何時間か
よく言われるのが1,000時間前後という数字です。
ただ、この数字は出典によって幅があり、700時間という人もいれば1,500時間という人もいます。実務経験や、二級建築士を持っているかどうかでも変わりますので、「だいたい1,000時間」を目安として使うのが現実的だと思います。
大事なのは正確な数字ではなく、それがカレンダー上でどういう意味を持つかです。
1,000時間を、実際のカレンダーに置いてみる
計算してみましょう。
パターン1:平日2時間・休日6時間
| 1日あたり | 日数 | 週の合計 | |
|---|---|---|---|
| 平日 | 2時間 | 5日 | 10時間 |
| 休日 | 6時間 | 2日 | 12時間 |
| 合計 | 22時間/週 |
これを続けると、
| 期間 | 累計時間 |
|---|---|
| 3ヶ月(13週) | 約286時間 |
| 6ヶ月(26週) | 約572時間 |
| 9ヶ月(39週) | 約858時間 |
| 12ヶ月(52週) | 約1,144時間 |
9ヶ月で約860時間、1年で約1,140時間。
つまり、試験が7月なら、前年の秋(10月頃)から始めれば、ちょうど1,000時間前後に届く計算になります。
パターン2:平日1時間・休日4時間
| 期間 | 累計時間 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 約338時間 |
| 9ヶ月 | 約507時間 |
| 12ヶ月 | 約676時間 |
1年やっても700時間弱。これだと1年では届きません。
この差を生んでいるのは、1日あたりたった1〜2時間です。
「2時間」は、机に向かう2時間ではありません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
平日2時間と聞くと、多くの方はこう考えます。
21時に帰宅 → ご飯・風呂 → 22時半から机に向かって24時半まで
これは、続きません。断言します。残業した日に、確実に崩れます。
そうではなく、こう分解してください。
| 時間帯 | 長さ | 何をするか |
|---|---|---|
| 通勤(行き) | 30分 | 講義動画/一問一答 |
| 昼休み | 30分 | 前日の間違い直し |
| 通勤(帰り) | 30分 | 一問一答/暗記 |
| 帰宅後 | 40分 | 過去問を解く(机) |
| 合計 | 2時間10分 |
机に向かうのは40分だけです。
それでいて、目標の2時間を超えています。
これなら、残業して22時に帰った日でも、通勤と昼休みで1時間30分は確保できています。ゼロの日を作らないことが、9ヶ月続けるうえで決定的に効きます。
昼休みの30分を、あきらめないでください
この中で、いちばん軽く見られがちなのが昼休みです。
昼休みは1時間あります。食事に30分使っても、30分は必ず残ります。
この30分は、実はとても質の高い時間です。
- 頭が朝よりも動いている
- 「前日に間違えた問題を見直す」という、いちばん効率の良い作業に充てられる
- 毎日必ず訪れるので、予定が崩れにくい
30分×週5日=週2.5時間。9ヶ月で約100時間になります。これは、それだけで学科1科目分に相当する量です。
「昼休みは休みたい」という気持ちはよく分かります。それでも、この30分を確保できるかどうかで、9ヶ月後の景色がはっきり変わります。
「まとまった時間じゃないと勉強にならない」は本当か
科目によります。ここは正直に分けます。
| 種類 | スキマ時間 | まとまった時間 |
|---|---|---|
| 用語・数値の暗記 | ◎ 向いている | △ もったいない |
| 一問一答・過去問の反復 | ◎ 向いている | ○ |
| 法令集を引く練習 | × できない | ◎ 必須 |
| 構造の計算問題 | × できない | ◎ 必須 |
| 図・グラフを伴う理解 | △ | ◎ |
つまり、「スキマで暗記と反復、机で法規と構造」という役割分担をすればいいのです。
これを意識するだけで、使える時間の総量が一気に増えます。
科目ごとの時間配分をどう考えるか
学科は5科目(計画・環境設備・法規・構造・施工)です。
配分を考えるうえでの考え方を、私なりに書きます。
法規:いちばん時間を食うが、いちばん確実に点になる
法規は、法令集を引く速さがすべてです。そして引く速さは、練習量にきれいに比例します。
つまり、やった分だけ点が伸びる、いちばん裏切らない科目です。
だからこそ、最初に着手すべきはここだと考えています。後回しにすると、法令集の線引きすら終わらないまま直前期を迎えます。
そして、その線引きこそが最初の壁になります。
ただ、ここは法令集の選び方だけで、ほぼ解決します。
資格学校が出している法令集は、いずれも3,000円前後で買えて、しかも線引きの見本とインデックスが無料で手に入ります。
| 法令集 | 判型 | 価格(税込) | 線引き・インデックス |
|---|---|---|---|
| 総合資格学院 法令編 | B5 | 2,750円 | 線引き見本をWeb公開/購入者登録でインデックス・アンダーライン帳 |
| TAC 建築基準関係法令集 | B5 | 3,080円 | 線引き集を全ページ分PDFで無料提供/インデックスシール付属 |
| 日建学院(オレンジ本) | B5 | 3,000円前後 | カラーインデックス付属/購入者全員にアンダーライン集をプレゼント |
つまり、3,000円で「どこに線を引くか」の答えまで付いてくるということです。
線引きを自己流でゼロから組み立てると、それだけで数十時間を溶かします。その時間がまるごと浮くというのは、9ヶ月しかない社会人にとって、かなり大きな意味を持ちます。
判型は「B5」をおすすめします
法令集にはB5判とA5判があります。
- B5判:紙面が大きい分、同じ内容でも厚みが抑えられます
- A5判:鞄には入れやすいものの、その分ページ数が増えて分厚くなります
A5は一見コンパクトですが、辞書のように分厚い本を毎日持ち歩くのは、想像以上に負担です。 ページをめくる回数も増えます。
試験中に引く速さを考えても、1ページに載る情報が多いB5のほうが有利です。持ち運ぶ機会の多い社会人こそ、「大きいけれど薄い」B5を選ぶ価値があると思います。
実際、日建学院のオレンジ本は2026年版でA5サイズの発行をやめ、B5判のみになりました。
インデックスの扱いには注意してください
令和8年の試験から、持ち込む法令集のインデックスの取扱いが厳しくなると案内されています。認められる範囲は「目次、見出し及び関連法令・条文等の指示」に限られるとされています。
最新の「持込み可能な法令集等」の条件は、建築技術教育普及センターで必ずご確認ください。
資格学校が出している法令集の付属インデックスは、その条件に沿って作られているという点でも安心です。
※価格・特典の内容は年度によって変わりますので、購入前にご確認ください。
構造:計算と文章に分けて考える
構造は、大きく「力学の計算」と「構造規定・材料の知識」に分かれます。
- 計算問題:机に向かう時間が必要。ただし出題のパターンは限られているので、型を覚えれば安定します
- 知識問題:スキマ時間で回せます
構造を「難しそうだから後回し」にする方が多いのですが、計算問題はパターンを覚えれば確実に得点源になります。むしろ、実務で構造に触れていない方こそ、早めに手をつける価値があります。
計画・環境設備・施工:暗記の比重が高い
この3科目は、スキマ時間との相性が非常に良い科目です。通勤中に一問一答を回すだけでも、着実に積み上がります。
続けるための、地味だけど効く工夫
9ヶ月続けるというのは、根性の問題ではなく、仕組みの問題です。
1. 「今日は何をやるか」を前の晩に決めておく
いちばん時間を溶かすのは、「さて、何をやろうか」と考えている時間です。
前の晩に「明日は法規の第○章」と決めておくだけで、翌日のスタートが10分早くなります。9ヶ月で約45時間の差になります。
2. ゼロの日を作らない
大事なのは、その日にたくさんやることではなく、連続を切らさないことです。
どうしても無理な日は、通勤中に5分だけ一問一答を回す。それでも「やった日」です。一度ゼロの日を作ると、二日目のハードルが跳ね上がります。
3. 手帳やアプリに、勉強時間を記録する
積み上がった時間が見えると、それ自体が支えになります。「もう300時間やった」という事実は、しんどい時期に効きます。
4. 家族に、先に宣言しておく
これは意外と大きいです。休日に6時間勉強するというのは、家族の協力なしには成立しません。
「今年の7月まで、休日は勉強させてほしい」と先に伝えておくかどうかで、9ヶ月の過ごしやすさがまったく変わります。
講座選びは「続けられるか」で決めてください
ここまで読んで気づかれたかもしれませんが、勉強時間の話は、そのまま講座選びの話につながります。
平日の勉強時間の内訳が「通勤30分+昼休み30分+通勤30分+机40分」なのだとしたら、選ぶべき講座は、スマホで細切れに進められる講座です。
- 決まった曜日の決まった時間に教室へ行く形式は、残業のある職場だと崩れやすい
- 逆に、スマホで一問一答が回せる形式は、崩れた日でもゼロにならない
もちろん、通学の強制力がないと続かないという方もいます。そこは人によります。
大事なのは、「自分の生活のどこに勉強時間があるか」を先に把握してから、講座を選ぶという順番です。
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スキマ時間で進めたい方へ
スタディングは、講義も過去問もスマホで進められるオンライン講座です。通勤30分・昼休み30分をそのまま勉強時間に変えたい方は、一度のぞいてみてください。学科対策コースは79,800円(税込)です。
講座ごとの費用については、別の記事で全社の金額を調べてまとめていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
- 必要なのは1,000時間前後。平日2時間・休日6時間を9ヶ月続ければ届く
- 平日の内訳は、通勤30分+昼休み30分+通勤30分+机40分。机に向かうのは40分だけ
- 昼休みの30分をあきらめない。9ヶ月で約100時間になる
- スキマ時間で暗記と反復、まとまった時間で法規と構造
- 構造の計算はパターン。早く手をつければ、いちばん安定した得点源になる
- 法令集は資格学校のB5判。3,000円前後で線引き見本まで手に入る
- 講座は値段より先に「自分の生活で続けられる形か」で選ぶ
「時間がない」と感じている方に、いちばん伝えたいのはこれです。
時間がないのではなく、まだ細切れの時間を勉強時間として数えていないだけかもしれません。
まずは1週間、通勤時間に一問一答を回してみてください。思っているより、進みます。
あわせて読みたい
参考にした情報
- 総合資格学院 出版サイト「令和8年版 建築関係法令集」(2026年8月7日確認)
- TAC出版「2026年度版 建築基準関係法令集」(2026年8月7日確認)
- 建築資料研究社「建築法令集(オレンジ本)2026年版」(2026年8月7日確認)
- 建築技術教育普及センター 一級建築士試験(持込み可能な法令集等の条件)


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