一級建築士の構造は時間配分で決まる|計算問題に何分かけるかを先に決めてください

一級建築士試験

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「構造の計算問題を、もっと解けるようにならないと」

そう思って、力学の問題集を何周もしている方に、先にお伝えしたいことがあります。

こんにちは。構造設計をしていた一級建築士です。

構造の計算問題は、覚えれば確実に点になります。それは間違いありません。

ただ、計算が解けるようになることと、構造で点が取れることは、同じではありません。

計算問題に時間をかけすぎると、解けるはずだった文章問題を落とします。

構造は「解く力」より先に、「何分かけるか」を決める科目です。

この記事では、その理由を試験時間の数字で説明したうえで、当日どう戦うかをお伝えします。


構造と施工は、同じ165分の中にいます

まず、意外と意識されていない事実から。

一級建築士の学科試験は、科目ごとに時間が区切られているわけではありません。構造と施工は、まとめて1つの時間で解きます。

試験区分科目出題数試験時間
学科I・II計画・環境設備20問+20問2時間
学科III法規30問1時間45分
学科IV・V構造・施工30問+25問2時間45分

構造30問と施工25問で、合わせて55問を165分

これを1問あたりに直すと、平均3分です。

つまり、構造で使いすぎた時間は、そのまま施工から奪っているということになります。

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。構造は、構造だけで完結する科目ではありません。

しかも、施工にも基準点があります

学科試験には、総得点の基準点だけでなく、各科目ごとの基準点(いわゆる足切り)があります。1科目でも下回れば、他がどれだけ良くても不合格です。

構造で頑張って稼いでも、施工が足切りに届かなければ終わりなのです。

構造の計算問題に粘ることは、施工の足切りリスクを上げる行為でもあります。


計算6〜7問と、文章23〜24問。時間の単価がまるで違う

構造30問の中身を見てみます。

年度によって前後しますが、力学の計算問題はおおむね6〜7問。残りの23〜24問は、構造規定や材料などの文章問題です。

ここで、大事なことに気づきます。

1問あたりの時間特徴
力学の計算問題数分〜(詰まると青天井)解けるかどうかが当日わかる
文章問題30秒〜1分知っていれば即答できる

どちらも同じ1点です。

それなのに、計算問題は文章問題の何倍もの時間を食います。しかも、詰まったときに何分かかるかが読めません。

計算1問に8分かけて詰まったとすると、失っているのは文章問題2〜3問分の時間です。その2〜3問は、知っていれば確実に取れたかもしれない問題です。

「計算が解けたのに点が伸びない」という人は、たいていここで損をしています。


だから、当日はこう戦います

前置きが長くなりました。具体的な作戦です。

1. 自信のある計算問題だけ、その場で解く

問題を見て、解き方の道筋がすぐ浮かぶものは、そのまま解いてしまって構いません。過去問を回していれば、「あ、これは知っている形だ」と分かるはずです。

2. 見通しが立たなければ、飛ばす

4分ほど考えて解ける気配がなければ、そこで止めて次に進みます。

これは「あきらめる」のではありません。後で戻ってくるために、いったん置くだけです。

つらいのは分かります。少し進んだところで手が止まると、「ここまで来たのに」と粘りたくなります。でも、そこで粘った5分が、後半の文章問題5問を奪います。

3. 最後まで行ってから、戻る

施工まで含めて最後まで解き切ってから、飛ばした問題に戻ります。

この順番なら、取れる問題を全部拾ってから、残り時間で計算に挑むことになります。逆にすると、取れるはずの問題を残したまま時間切れになります。


飛ばすときに、いちばん怖いこと

戦略としては単純なのですが、実務的に、ひとつだけ本当に危ないことがあります。

マークシートのズレです。

問題を飛ばしたのに、解答欄を1つ詰めて塗ってしまう。そのまま気づかずに進むと、それ以降の答えが全部1段ずれます。

計算問題1問を落とすどころではありません。10問、20問がまとめて消えます。

対策は地味ですが、これしかありません。

  • 飛ばした問題の解答欄は必ず空けたままにする
  • 飛ばした問題番号を、問題用紙に大きく丸で囲んでおく
  • 5問ごと、あるいは科目の変わり目で、問題番号と解答欄の番号が合っているかを確認する
  • 最後に見直す時間を、5分だけ確保しておく

飛ばす戦略を採るなら、この確認とセットで練習してください。模擬試験や過去問を解くときから、同じやり方で通すのがおすすめです。


時間が尽きても、空欄にはしないでください

これも必ずお伝えしたいことです。

一級建築士の学科試験は四肢択一です。つまり、

  • 空欄のまま出す → 確実に0点
  • とりあえず塗る → 4分の1の確率で当たる

誤答による減点はありません。塗らない理由がありません。

残り時間がなくなったら、迷わず塗ってください。「自信がないから」は、空欄にする理由になりません。自分の感覚を信じて、必ずマークする。

これで拾える1点が、合否を分けることは本当にあります。


つまずくのは「公式が思い出せない」ところ

計算問題で手が止まる原因は、たいてい難しい理論ではありません。

断面力の公式が、その場で出てこない。 これに尽きます。

集中荷重のときはどうだったか、等分布荷重のときはどうだったか。ここが曖昧だと、そこから先に一歩も進めません。逆に、公式さえ出てくれば、あとは数字を入れるだけという問題も少なくありません。

たとえば、この3つ

どの問題集にも必ず出てくる、いちばん基本の形です。

梁と荷重最大曲げモーメント
単純梁+中央に集中荷重PM = PL / 4
単純梁+等分布荷重wM = wL² / 8
片持ち梁+先端に集中荷重PM = PL

「見たことはあるけれど、すぐには出てこない」——もしそうなら、そこが今のあなたの伸びしろです。

ただし「この3つを覚えれば大丈夫」ではありません

ここは正直に書きます。

これは、覚えるべきものの一例にすぎません。 試験に出るのはこの3つだけではありませんし、この3つが出ない年もあります。

「これだけ覚えればいい」と書いてある記事を信じて、本番で見たことのない形が出たら、そこで心が折れてしまいます。それがいちばん怖いことです。

なので、お伝えしたいのは公式そのものではなく、やり方のほうです。

過去問を解く。

出てきた公式を、自分のテキストで確認する。

確認したものを、確実に覚える。

この繰り返しです。

出題される形は、過去問を回していれば見えてきます。自分が実際に出会った公式を、テキストに戻って正しく理解して覚える。 これが遠回りに見えて、いちばん確実です。

ネットで拾った公式の一覧を眺めるより、自分の手を動かして出会った公式のほうが、はるかに記憶に残ります。


モーメント図は、過去問を回すと感覚で解けるようになります

最後に、少し勇気の出る話を。

構造の計算問題の中でも、モーメント図の形を選ぶような問題は、過去問を繰り返していると感覚で分かるようになります。

どこが膨らむか、どこで折れるか、どちら側に出るか。何度も見ているうちに、計算する前に「この形だな」と見当がつくようになります。

これは才能ではなく、単純に見た回数です。

だからこそ、限られた時間を「難問1問に粘る」ことではなく、「過去問を何周するか」に使ってほしいのです。


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まとめ

  • 構造30問と施工25問は、同じ165分の中で解く。1問あたり平均3分
  • 構造で使った時間は、そのまま施工から奪っている。施工にも基準点がある
  • 力学の計算は6〜7問、文章問題は23〜24問。同じ1点でも時間の単価がまるで違う
  • 自信のある計算だけその場で解き、見通しが立たなければ飛ばす。最後まで行ってから戻る
  • 飛ばすならマークシートのズレに要注意。解答欄は空けたままにし、番号を定期的に確認する
  • 時間が尽きても空欄にしない。四肢択一なので、塗れば4分の1
  • つまずくのは公式が出てこないところ。過去問で出会った公式を、テキストで確認して覚える
  • モーメント図は、過去問を回すうちに感覚で分かるようになる

構造は、難しい科目だと思われがちです。

でも実際に合否を分けているのは、力学の難問が解けるかどうかではなく、取れる問題を全部取り切れたかどうかです。

計算に粘りたくなったら、思い出してください。その5分の向こうに、解けるはずの文章問題があります。


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参考にした情報

  • 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 試験について(時間割等)」(2026年8月7日確認)

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