3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。
その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。
講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP
特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)
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令和5年度 問15
鉄骨造建築物における保有耐力横補剛に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.保有耐力横補剛とは、はり材の両端が全塑性状態に至った後十分な回転能力を発揮するまでは横座屈が生じないような補剛方法のことをいう。
2.耐震計算ルート2では、箱形断面のはりであっても、保有耐力横補剛を行うことが必要とされる。
3.横補剛材は、圧縮力を受ける側のはりのフランジが水平に移動しないようなディテールではり材に接合しておく必要がある。
4.はり全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合に、はりに強度の高い材料を使った場合ほど、保有耐力横補剛に必要な横補剛の箇所数は多くなる。
【過去の考査問題の出典】
出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。
解答(案)
解答は、2(最も不適切なもの)。
カギは、横座屈がどんな断面で起こる現象かです。横座屈は「H形鋼など開断面のはりが曲げを受けた時、ねじれを伴って圧縮側のフランジ等が曲げの面外にはらみ出す」現象であり、ねじり剛性の高い箱形断面のはりには横座屈のおそれがありません。
解説
1.〇(適切)
はりは、十分な変形能力を発揮するまで横座屈を生じないように設計されなければならず、端部が塑性状態(全塑性曲げモーメント)に達するはりでは、端部が十分回転変形するまで横座屈を生じないよう配慮が必要です。保有耐力横補剛の定義として適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.364 L25 6.3.3(2)ⅵ)、p.630 付録1-2(4)ⅰ))
2.✕(不適切)👉 これが正答
横座屈とは「H形鋼など開断面のはりが曲げを受けた時、ねじれを伴って圧縮側のフランジ等が曲げの面外にはらみ出す現象」です。箱形断面のはりはねじり剛性が高く横座屈のおそれがないため、保有耐力横補剛は必要とされません。「箱形断面のはりであっても必要」とする本肢が最も不適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.630 付録1-2(4)ⅰ))
3.〇(適切)
横補剛材は、圧縮力を受ける側のフランジの横変位を拘束できるように、フランジを小ばりや方づえ等で直接補剛するか、又は十分な剛性・強度を有するガセットプレート等を介してフランジの横変位を拘束する必要があります。本肢の記述はこれに沿っており適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.631 付録1-2(4)ⅲ)②)
4.〇(適切)
はり全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合の必要本数nは、はりの弱軸まわりの細長比λyについて、400ニュートン級炭素鋼でλy≦170+20n、490ニュートン級炭素鋼でλy≦130+20nを満足するように定めます。強度の高い材料(490N級)ほど右辺の定数が小さく、同じはりなら必要な横補剛の箇所数は多くなります。適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.630 付録1-2(4)ⅱ)① 式(付1.2-18))
ポイント
- 横座屈=H形鋼など「開断面」のはりの現象。箱形断面・鋼管は横座屈のおそれがなく、保有耐力横補剛は不要。
- 横補剛材は圧縮側フランジの横変位を拘束(小ばり・方づえで直接、又は剛強なガセット経由)。
- 均等間隔補剛の必要本数:λy≦170+20n(400N級)/λy≦130+20n(490N級)→高強度材ほど補剛箇所が多い。
最後にルート2主事試験に持ち込み可能な図書の紹介
修了考査時に持込可能な図書なので、考査時までに購入しておくのがおすすめです。
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