3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。
その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。
講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP
特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)
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令和5年度 問16
ルート2で耐震計算された鉄骨造建築物に用いられる部材断面について、幅厚比又は径厚比に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.はりに用いる400ニュートン級炭素鋼のH形鋼について、ウェブの幅厚比がH/tw、フランジの幅厚比がB/2tfによって計算されており、その結果ウェブが60以下、フランジが9以下であったため、ルート2として適切と判断した。
2.柱に用いる400ニュートン級炭素鋼による円形鋼管の径厚比がD/tにより計算され、計算の結果50であったため、ルート2として適切と判断した。
3.はりに用いられるH形鋼ウェブの幅厚比が、耐震計算ルート3における部材種別FBとなったが、構造耐力上支障のある横座屈が生じないことを特別な調査又は研究により確認された旨の検討書を確認し、ルート2として適切と判断した。
4.400ニュートン級の部材についても490ニュートン級の幅厚比の制限値により設計されていたため、ルート2として適切と判断した。
【過去の考査問題の出典】
出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。
解答(案)
解答は、3(最も不適切なもの)。
カギは、幅厚比の規定のただし書きで確認するのは「局部座屈」であって「横座屈」ではない、という点です。幅厚比は板要素の局部座屈を防ぐための規定であり、選択肢3は現象を取り違えています。
解説
1.〇(適切)
はり(400ニュートン級炭素鋼のH形鋼)の幅厚比の制限値は、ルート3の部材種別FAの規定値と同じで、ウェブ60以下・フランジ9以下です。フランジの幅厚比をB/2tf(全幅Bではなく半分のbで計算)とするのは正しい計算方法です。ウェブをH/twで計算するのは、正確なウェブのせい(H−2tf)/twより大きめ=安全側の評価になるため、その結果が60以下であれば適切と判断できます。(昭55建告第1791号第2第五号、R5講習テキスト S-p.7)
2.〇(適切)
400ニュートン級炭素鋼の円形鋼管の径厚比の制限値(FA相当)はD/t≦50です。計算結果が50であれば制限値以下であり、適切です。(昭55建告第1791号第2第四号)
3.✕(不適切)👉 これが正答
幅厚比の規定のただし書きで求められるのは、「鋼材の断面に構造耐力上支障のある局部座屈を生じないことが確かめられた場合」であり、横座屈ではありません。幅厚比は板要素の局部座屈を防ぐための規定です。「横座屈が生じないことを確認した検討書」をもって幅厚比FBを容認するのは、確認すべき現象の取り違えであり不適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.364 6.3.3(2)、昭55建告第1791号第2第四号・第五号ただし書)
4.〇(適切)
490ニュートン級の幅厚比の制限値は400ニュートン級より厳しいため、400ニュートン級の部材に490ニュートン級の制限値を適用するのは安全側であり、適切です。(昭55建告第1791号第2第四号・第五号)
ポイント
- 幅厚比=局部座屈の規定。ただし書きの確認対象も「局部座屈」。「横座屈」(はり全体の座屈)と混同させるのが本問のひっかけ。
- H形鋼の幅厚比:フランジは半幅b(B/2)で計算。はり(400N級)はウェブ60・フランジ9、柱は43・9.5。
- ルート2の幅厚比の規定値=ルート3の部材種別FAと同値。より厳しい制限値での設計は安全側で可。
最後にルート2主事試験に持ち込み可能な図書の紹介
修了考査時に持込可能な図書なので、考査時までに購入しておくのがおすすめです。
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