R5特定建築基準適合判定資格者講習の考査問題解説⑭

ルート2主事試験過去問

3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。

その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。

講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP

特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

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令和5年度 問14

ルート2で耐震計算された鉄骨造建築物に対して、法第6条の3第1項ただし書の規定による審査を行う場合について、次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.柱脚をピンとした構造計算により柱頭の曲げモーメントを求め、その0.3倍の大きさのモーメントが柱脚に加わるとして柱脚の設計計算を行っていたことについて、適切と判断した。
2.すべての柱及びはりの幅厚比が、耐震計算ルート3における部材種別FAに該当していることについて、適切と判断した。
3.柱が角形鋼管ではりが400ニュートン級炭素鋼のH形鋼であったので、はり仕口部の最大曲げ強度が、はりの全塑性モーメントの1.3倍を超えるように設計していたことについて、適切と判断した。
4.建築物の地上部分の架構の幅に対する高さの比が4以下であったことについて、適切と判断した。

【過去の考査問題の出典】

出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。

令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

解答(案)

解答は、3(最も不適切なもの)。

カギは、柱が角形鋼管ではりがH形鋼の仕口部の扱いです。この組合せの仕口部では、鋼管壁の面外降伏を考慮した耐力の算定が必要で、単に「はりの全塑性モーメントの1.3倍を超える」設計とするだけでは確認として不十分です。

解説

1.〇(適切)
露出型柱脚では、従来、柱脚をピンとして骨組の構造計算が行われてきましたが、完全なピン柱脚はあり得ないため、反曲点高比0.3程度のモーメントが柱脚部に作用することを想定して設計する必要があるとされています。柱頭曲げモーメントの0.3倍を柱脚に加えて設計する扱いは、これに沿った適切なものです。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 付録1-2.6(2) p.634 L31)

2.〇(適切)
ルート2では、柱・はりの幅厚比が昭55建告第1791号第2第四号・第五号の表の数値以下であることを確認します。この数値はルート3における部材種別FAの規定値と同じなので、すべての柱・はりがFAに該当していれば適切です。(R5講習テキスト S-p.7)

3.✕(不適切)👉 これが正答
400ニュートン級炭素鋼の仕口部の安全率はα=1.3であり、一見適切に見えます。しかし、柱が角形鋼管ではりがH形鋼の仕口部については、鋼管壁の面外降伏を考慮した耐力を算定する必要があります。一貫計算プログラムではこの耐力は算定されないため、別途手計算等により、鋼管壁の面外降伏を考慮した耐力で保有耐力接合となっていることを確認する必要があり、単に「はりの全塑性モーメントの1.3倍を超えるように設計していた」ことだけで適切と判断するのは不十分です。(R5講習テキスト S-p.9)

4.〇(適切)
地上部分の塔状比(架構の幅に対する高さの比)が4を超えないことは、ルート2の適用条件のとおりで適切です。(昭55建告第1791号第2)

ポイント

  • 角形鋼管柱+H形鋼ばりの仕口部は「鋼管壁の面外降伏」の考慮が必須。α=1.3の確認だけでは足りない。一貫計算では算定されない点も審査の要チェックポイント。
  • 露出型柱脚をピンとして計算しても、柱脚部には反曲点高比0.3程度のモーメントを想定して設計する。
  • ルート2の幅厚比の規定値=ルート3のFA種別と同値。

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