R5特定建築基準適合判定資格者講習の考査問題解説⑬

ルート2主事試験過去問

3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。

その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。

講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP

特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

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令和5年度 問13

鉄骨造建築物の構造計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.一様曲げを受けるはりの曲げ材の座屈の許容応力度は、逆対称曲げを受けるはりの曲げ材の座屈の許容応力度よりも小さい。
2.角形鋼管柱の圧縮材の座屈の許容応力度は、有効細長比には依存し、幅厚比には依存しない。
3.圧縮力を受ける筋かいの座屈耐力の計算には、端部接合部のボルト孔による断面欠損を考慮しなくてもよい。
4.水平移動が拘束されていないラーメンの柱材の座屈長さは、精算を行わない場合はその層の高さとしてよい。

【過去の考査問題の出典】

出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。

令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

解答(案)

【2026年9月15日 修正】読者の方からご指摘をいただき、解答を「2」から「4」に修正しました。講習テキストで根拠を確認し、解説も書き直しています。ご指摘、ありがとうございました。

解答は、4(最も不適切なもの)。

カギは、「部材全体の座屈」と「板の局部座屈」を分けて考えることです。座屈の許容応力度を決めるのは有効細長比(部材全体の座屈)、幅厚比は局部座屈を防ぐための制限値です。そして、水平移動が拘束されていない柱は、座屈長さが層の高さより長くなります。

解説

1.〇(適切)
曲げ材の座屈(横座屈)の許容応力度は、モーメント分布に応じた係数Cで補正されます。一様曲げ(C=1.0)は最も厳しい条件で、逆対称曲げ(C最大2.3)より許容応力度は小さくなります。記述のとおり適切。

2.〇(適切)
圧縮材の座屈の許容応力度は、有効細長比λ(と材料で決まる限界細長比Λ)によって定められており、幅厚比は式に入っていません。(平13国交告第1024号)
幅厚比は、板要素に局部座屈が生じて必要な塑性変形能力が発揮できなくなることを防ぐため、昭55建告第1791号第2第四号・第五号の表の数値以下であることを確認するもので、許容応力度の値を変えるものではありません。(R5講習テキスト S-p.7 (3)柱及びはりの幅厚比)
したがって「有効細長比には依存し、幅厚比には依存しない」は適切。

3.〇(適切)
圧縮材の座屈耐力は全断面積を用いて計算するため、端部接合部のボルト孔による断面欠損は考慮しなくてよい(欠損の影響は引張側の検討で考慮)。適切。

4.✕(不適切)👉 これが正答
水平移動が拘束されていない(横に動ける)ラーメンの柱は、座屈するときに柱頭が横に移動するため、座屈長さが節点間距離(層の高さ)より長くなります。たとえば柱脚がピンの場合、座屈長さは理論上、層の高さの2倍になります。
座屈長さを節点間距離としてよいのは、筋かいなどで水平移動が拘束されている場合です。水平移動が拘束されていないのに、精算せずに層の高さとしてよいとする本肢は、座屈長さを短く見積もる(危険側の)扱いで、最も不適切。

ポイント

  • 座屈の許容応力度は有効細長比で決まる(部材全体の座屈)。幅厚比は局部座屈を防ぐための制限値で、許容応力度の式には入らない。
  • ルート2では、幅厚比が昭55建告1791号第2第四号・第五号の表の数値以下であることを確認する。この数値はルート3の部材種別FAの規定値と同じ。(R5講習テキスト S-p.7)
  • 水平移動が拘束されていない柱の座屈長さは、層の高さより長い(柱脚ピンなら理論上2倍)。層の高さとしてよいのは水平移動が拘束されている場合。
  • 一級建築士の構造の知識で解ける問題ですが、「局部座屈(幅厚比)」と「全体座屈(細長比)」の区別は、ルート2で幅厚比を確認するときの前提になります。

最後にルート2主事試験に持ち込み可能な図書の紹介

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修了考査時に持込可能な図書なので、考査時までに購入しておくのがおすすめです。

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