R5特定建築基準適合判定資格者講習の考査問題解説⑪

ルート2主事試験過去問

3年に一度実施される特定建築基準適合判定資格者講習があります。講習を受けて、最後の終了考査に合格すると、特定建築基準適合判定資格者として、建築基準法第6条の3第1項ただし書きにある特定構造計算基準に適合するかどうかを審査することができます。

その過去問が日本建築防災協会のHPに掲載されているのですが、解説がないため解答案を作成してみようと思います。

講習の受講案内のリンク 日本建築防災協会HP

特定建築基準適合判定資格者講習|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

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令和5年度 問11

ルート2で耐震計算された鉄筋コンクリート造建築物の耐力壁の設計に対して、法第6条の3第1項ただし書の規定による審査を行う場合について、次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.床上から上階はり下までの開口部がある耐力壁について、その上下が剛強な無開口壁によって拘束されていたため、せん断剛性の低減率を、開口周比を用いて算定することは、適切と判断した。
2.複数の開口部を有する耐力壁の曲げ剛性を、力学的性状を考慮して等価な一つの開口部とみなして計算した開口周比を用いて算定することは、適切と判断した。
3.開口付き耐力壁において、必要な開口補強がなされており、開口周比とl0/lがいずれも0.4以下なので、その水平断面積(t×(lw-l0))を壁量の計算に用いる耐力壁の断面積Awに算入することは、適切と判断した。
4.開口付き耐力壁において、耐震計算ルート2の規定に基づく設計用せん断力に対して、開口部の縦補強筋や横補強筋、斜め補強筋が引張降伏しないことを確認することは、適切と判断した。

【過去の考査問題の出典】

出典:令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果 2.考査問題 から引用しました。

令和5年度 特定建築基準適合判定資格者講習 修了考査結果|(一財)日本建築防災協会|建築物の防災並びに維持管理制度・技術の調査・研究。資格講習、耐震チェックプログラムの紹介。 (kenchiku-bosai.or.jp)

解答(案)

解答は、1(最も不適切なもの)。

開口付き耐力壁のせん断剛性は、無開口耐力壁のせん断剛性に開口周比による低減率 r1=1−1.25r0 を乗じて算定できますが、これは等価開口周比 r0 が0.4以下の場合に限られます。選択肢1はこの前提を外れています。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.671、平19国交告第594号第1第三号イ)

解説

1.✕(不適切)👉 これが正答
選択肢1の開口は「床上から上階はり下まで」=全高開口です。開口が上端で梁に、下端で同じ階の床に達すると、その壁は1枚の耐力壁として扱うことができません(壁が上下に分断される)。したがって、開口周比を用いてせん断剛性の低減率を算定する扱いは不適切。「上下階が剛強な無開口壁で拘束されているから」という理由づけも、その階の全高開口には当てはまりません。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.671)

2.〇(適切)
複数の開口を有する耐力壁でも、力学的性状を考慮して等価な1つの開口部とみなして開口周比を用いてよいとされています。本肢の手法は認められており、適切。(2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書 p.671)

3.〇(適切)
開口周比と l0/l のいずれか大きい方が0.4以下であれば、その水平断面積 t×(lw−l0) を耐力壁の断面積Awに算入できます。適切。(R5講習テキスト RC-p.5)

4.〇(適切)
設計用せん断力に対して、開口部の縦・横・斜め補強筋が引張降伏しないことを確認するのは、開口補強の検討として適切。

ポイント

  • 全高開口(床〜梁下)の壁は「1枚の壁」として扱えない=開口周比法の適用外。ここが本問の肝。
  • 開口周比によるせん断剛性の低減は、等価開口周比 r0 ≦ 0.4 の場合に限る。
  • 複数開口は等価な1開口とみなしてよい。Aw算入は開口周比・l0/l ≦ 0.4。

最後にルート2主事試験に持ち込み可能な図書の紹介

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