【建築基準法】別表第二(る)項第一号(13)は毒物及び劇物取締法が根拠なの?

準工業地域での「化学物質製造工場」の扱いをわかりやすく解説

■ はじめに

準工業地域で工場を計画するとき、よく疑問になるのが
**建築基準法 別表第二(る)項第一号(13)に規定されている“化学物質の製造工場の制限”**です。

この中に列挙されている物質を見ると、毒物及び劇物取締法と非常に似ています。

「これは毒物及び劇物取締法に基づいているの?」
「毒物じゃなければ作ってもいいの?」

といった質問は、建築相談の中でもよくあるテーマです。

結論からいうと——


✅ 結論

別表第二(る)項第一号(13)は「毒物及び劇物取締法が根拠」ではありません。
建築基準法が独自に定めた“危険・有害物質リスト”がベースです。

ただし、
制定当時に毒物及び劇物取締法の物質分類を強く参考にして作られた可能性は高い
というのが専門書・資料からわかる実情です。

ここからは、その理由をわかりやすく解説します。


■ 1. 別表第二は「建築物の危険性・環境性」で分類されている

建築基準法 別表第二(る)項第一号(13)は、

  • 火災・爆発の危険
  • 有毒ガスの発生
  • 臭気・排煙・水質汚濁などの環境悪化

といった “建築物としての危険性・公害性” を判断基準に作られています。

一方の毒物及び劇物取締法は、

  • 人体に対する毒性
  • 誤飲・接触による危害防止

という “薬理的な毒性” を目的としています。

👉 目的が違うため、同じ物質でも扱いが異なる

そのため、物質リストが似ていても法的な根拠は別物なのです。


■ 2. ではなぜ毒物及び劇物取締法に「似ている」のか?

理由は 歴史的背景 にあります。

  • 建築基準法(昭和25年制定)
  • 毒物及び劇物取締法(昭和25年制定)

どちらの法律も、ほぼ同時期に制定され、
当時の国が整備した「危険・有害化学物質の分類」の影響を強く受けています。

当時の法律や行政資料では、
毒物及び劇物取締法の物質表が「国の標準的な化学物質分類」として扱われており、
用途制限や危険物施設規制でも広く参考にされていました。

結果として、

  • 毒物及び劇物取締法の毒物・劇物
  • 爆発性・腐食性の強い物質
  • 製造工程で著しい環境負荷がある物質

などが、建築基準法 別表第二(る)項第一号(13)に採用されたと考えられています。


■ 3. 物質リストは一致している? → 一致“しない”物質も多い

建築基準法 別表第二(る)項第一号(13)を見ると、

ほとんどが毒劇法の毒物・劇物に該当しますが、
毒物及び劇物取締法の指定にない物質も多数含まれています。

例:毒物及び劇物取締法に該当しないが、別表第二(る)項第一号(13)では規制される物質

  • グリセリン
  • タンニン酸
  • アセトアニリド
  • アスピリン(医薬品)
  • 酢酸や安息香酸などの弱酸

👉 毒性が低くても、“製造工程が危険・公害性が高い” ため規制対象になっている
という建築基準法独自の観点がよく表れています。


■ 4. 制定時の資料にも「毒物及び劇物取締法が根拠」とは書かれていない

昭和25年前後の以下の資料を確認しても、

  • 建築基準法逐条解説
  • 都市計画中央審議会資料
  • 用途制限の技術背景資料

いずれにも
「毒物及び劇物取締法を根拠にした」という記述はありません。

書かれているのは次のポイントです。

  • “危険性・有害性の高い化学工場を用途地域で制限する必要がある”
  • “火災爆発、有毒ガス発生、環境汚染のおそれが大きい業種を列挙する”

つまり、
建築基準法の独自の視点で選定した物質群という扱いです。


■ 5. まとめ

❌ 建築基準法 別表第二(る)項第一号(13)の根拠=毒物及び劇物取締法

ではない

⭕ 建築基準法が独自に選定した危険・有害物質のリスト

(ただし毒物及び劇物取締法の分類が強く参考にされていると考えられる)

理由

  • 建築基準法とは目的がまったく異なる
  • リストは一致しない物質も多い
  • 制定時の資料に「毒物及び劇物取締法に基づく」との記載はない
  • 危険・公害性の観点から建築基準法独自に分類されている

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